What-if

健康情報として、社員の体重や体調の他、DNA・脳波・発話内容・瞳孔の動き、余命など、より機密性の高い情報を、会社が扱うようになったら?

遺伝子が知るワタシ

ノーコード開発に関する技術が進み、もともとは企画職だった矢島もシステム開発に携わるようになる。矢島自身もシステム開発業務に適性を感じたようで、プロダクトマネージャとして幸せに働いていた。
そんなある日、業務効率化DNA解析システムを、会社が導入。DNA検査の結果で、所属部署や勤務時間をパーソナライズする仕組みである。矢島は検査の結果、最適部署=システム開発、最適勤務時間=20:00-29:00となる。矢島は「勤務時間が明らかに理不尽だ!」と反発した。でも、上司からは「いや~、俺もそう思うんだけどさ…。君のDNAにとってはこれが最適なんだよ。この勤務時間変更は君のwellbeingのためなんだよ」となだめらるだけで、一向に解決策は見えない。
矢島はあきらめて、AIに指定された時間に勤務することにする。かなりきつい。「なんでこんな時間に…。なんで俺がこんな目に合わなきゃいけなんだよ…」。不満はありつつも、同じ時間を指定された仲間とも愚痴を言い合いながら何とかが頑張っていた。
そんな機関が2か月くらい経過すると、深夜に勤務することが苦じゃなくなってきた。むしろ、仕事がすいすい進む。「おお、この時間は俺にとってのゴールデンタイムなのかもしれない!すごいな、DNA!」。矢島の業績はどんどん上がっていき、成果が上がると共に、給料もあがったのである!!

……この政策は日本が、世界に先駆けて国家的に取り入れた政策である。DNAの分析結果に置いて、個人にパーソナライズされた最適の職業と勤務時間を割り振る仕組みである。
この仕組みのおかげで、日本のGDP、生産性はあがり、世界一になる。BCCやCNNでも取り上げられ、世界の最先端デジタル国家と言われるようになる。日本国民は、経済成長に大熱狂。バブル再来!
ただ、こんな働き方をずっとしていて、健康面、精神面の影響はでないのだろうか。その結末は、誰にもわからない。